ジャズ ウォーキングベース オススメ曲10

ジャズと言われてまず連想するのは、サックスやトランペットかもしれませんが、ベースはジャズにおいて、とても大事な役目を果たしています。

基本的にはジャズではベースは、ウォーキングと言って1小節に音を4つ弾きます。

このベースの動き方は、スイング感を演出したりコードの動きを提示する機能があり、ジャズのアンサンブルの中でも要になる部分です。

今回はジャズのウォーキングベースラインを学べる、オススメの曲を10曲選んでみました。

伝統的なジャズでは、ベースはコントラバス(ウッドベース)が担うことが多く、エレキベースは使われることが少ないですが、時代とともにそれも少しずつ変わってきています。

今回はエレベに特化した選び方ではなく、ウッドベースの演奏を中心に、スイング感を基本から学べるような、お手本となる演奏を選びました。

エレキベースを弾いている皆さんも、ウッドを初めてばかりの方もジャズのベースの妙に触れて、自分のプレイにも取り入れてみてはいかがでしょうか。

ジャズのウォーキングベースを学べるオススメ曲10選!

今回選んだ曲の中には、ジャズのスタンダードも含まれています。

ジャズはスタンダードを演奏するのが通例なので、同じ曲を、様々なミュージシャンが演奏しています。

何か一曲スタンダードを選んで、違うミュージシャンが演奏しているバージョンを聞き比べてみるのも、とても勉強になります。

ジャズのウォーキングベースを学べるオススメ曲10位「C-Jam Blues」/Red Garland Trio

スイングの名手であるピアニスト、レッド・ガーランドの有名アルバム「Groovy」より。

キーがCのブルース進行なので、とっつきやすいという意味で選んでみました。

ベーシストは、ポール・チェンバース。

ジャズの4ビートのウォーキングベースを学びたいなら、まず第一にこの人を聴くべきという、最高のお手本がポール・チェンバースです。

テンポもミディアムくらいなので、聞き取りやすく、基礎的なことがよくわかる演奏です。

この曲を繰り返し聞いて、スイングするという感触を体にしみこませてほしいです。

ジャズのウォーキングベースを学べるオススメ曲9位「So What」/Miles Davis

言わずとしれた、ジャズのアルバムの中でも最高傑作と呼ばれる、マイルス・デイビスのアルバム「Kind Of Blue」より。

この曲のポイントはコードが2つしか出てこないということと、その2つはDマイナーとE♭マイナーの半音違いであるということです。

Dマイナーが16小節、E♭マイナーが8小節、Dマイナーが8小節。

この計32小節が1コーラスです。

これをひたすらリピート。

テンポは速くありませんが、小節数を数える訓練になるのと、ステディなリズムをひたすらキープするという、ジャズのベースの要の部分が学べます。

ジャズのウォーキングベースを学べるオススメ曲8位「Autumn Leaves」/Cannonball Adderley

キャノンボール・アダレィのアルバムですが、マイルスのテーマが印象的な、ジャズで最もよく演奏されるスタンダード曲「枯葉」です。

ジャズのコード進行や構成を覚えるにあたって、AメロやBメロなどと構成に名前をつけて、「この曲はAABA形式だ」という風に言ったりしますが、この曲はAメロ8小節×2と、Bメロ16小節のAAB形式ということになります。

この構成をしっかり頭に叩き込むことが、ジャズ演奏の基礎力となります。

今どこを演奏しているのかをはっきり理解しながら、4ビートを刻み続けることが重要です。

ジャズのウォーキングベースを学べるオススメ曲7位「There Will Never Be Another You」/Sonny Stitt

この曲もとても頻繁に演奏される、ジャズスタンダードの中の一つで、サックスのソニー・スティットの演奏を選んでみました。

このバージョンはギターの4つ切りが入っていて、どちらかというと古い時代の演奏方法ですが、ベースの動きとシンクロしていて、リズムを捉えやすいという利点があり、基礎を学ぶのにもってこいです。

ビーバップの申し子であるソニー・スティットの軽快かつ切れ味の鋭いフレーズもとても印象的でかっこいいので、ぜひ一聴を!

ジャズのウォーキングベースを学べるオススメ曲6位「My Man’s Gone Now」/Miles Davis

この曲はマイルスのキャリアの中で何度も演奏されていますが、ここで選びたいのは、80年代に復活をとげて、発売されたライブアルバム「We Want Miles」のテイクで、ベースはマーカス・ミラー。

エレキベースでの演奏ですが、途中4ビートに切り替わるところがあり、この時のベースラインが、しっかりとジャズの伝統を踏まえたもので、エレベ奏者が参考にできる演奏なので、選んでみました。

ゴーストノートを3連で入れる方法や、スイング感など、正統派なジャズを感じるテイクです。

ジャズのウォーキングベースを学べるオススメ曲5位「Moon Over Bourbon Street」/Sting

スティングは「ブルータートルの夢」というアルバムでこの曲を演奏していますが、本人のウッドベース(エレクトリック・アップライトのような音色です)によるもので、ミディアムテンポくらいなので、聞き取りやすいです。

4ビートというより2ビートで、1小節に2つしか音を弾きませんが、一つの音をギリギリまで伸ばして、次の音につなげる様子がはっきりわかるので、とても勉強になります。

ライブアルバム「Bring On The Night」では、ダリル・ジョーンズがエレベで演奏しているので、そちらもチェックしてみてください。

ジャズのウォーキングベースを学べるオススメ曲4位「Wee」/John Scofield

ジョンスコのライブアルバム「En Route」より。

ベースはスティーブ・スワローで、セミアコベースを銅製のピックで弾くという、独特な音色で奏でられるウォーキングベースです。

よく聞くと細かくゴーストノートを入れたり、シンコペーションさせたりしていて、4ビートなのに、音をただ4つ弾いているわけではありません。

ただこのやり方がドラムのビル・スチュアートの叩く正確なビートと相まって、かっこいいスイング感を出しています。

B♭の循環と呼ばれるコード進行なので、(ジャズスタンダードの「オレオ」などと同じ進行)、応用が利く素材だと思います。

ジャズのウォーキングベースを学べるオススメ曲3位「Waltz For Ruth」/Pat Metheny & Charlie Haden

ジャズギターのパット・メセニーと、ウッドベースの名手チャーリー・ヘイデンのデュオのアルバム「Beyond The Missouri Sky」より。

ナイロン弦のギターとコントラバスのデュエットなので、お互いの息遣いが聞こえてくるような、生々しい演奏です。

3拍子でゆったりしたテンポですが、だらけない、しっかり真の通ったリズムと、太くて暖かいチャーリー・ヘイデンのベースは美しく、いつまででも聴いていたくなります。

BGMにもおすすめな名アルバムです。

ジャズのウォーキングベースを学べるオススメ曲2位「Union Pacific」/Marc Johnson

かつてはビル・エバンストリオのベースも務めた、マーク・ジョンソンのリーダーアルバム「Sound Of Summer Running」より。

シャッフルに近いスイングで、ひたすらきれいに4つ音を弾いていく姿がかっこよく、気持ちいい一曲です。

ウォーキングベースは、難しく考えるとどんどんドツボにハマっていってしまいますが、この曲を聴くと、4ビートはかっこよくて気持ちいいものなんだなと思います。

この気持ちよさを身体にしみこませるためにも、ぜひ一度聞いてもらいたいです。

ジャズのウォーキングベースを学べるオススメ曲1位「Lotus Blossom」/Kenny Dorham

Kenny Dorham Quartet - Lotus Blossom

最後は上級編というか、少し難しい曲を選んでみました。

最初はラテンのような8分の6のようなベースラインから入り、Bメロに入ったところから4ビートのウォーキング(このテンポだと、ウォーキングより早いので、ランニングと読んだりします)が始まるのですが、この変わり目のところがかっこいいです。

スピード感がぐっと生まれて、一気に音楽が前進する感覚です。

このスピード感がジャズの重要な要素なので、この曲を聴いてぜひ感じ取ってもらいたいです。

車のギアをぐっと切り替えて加速するような感覚です。

まとめ

以上がジャズのウォーキングベースを学べるオススメ曲10選の紹介!でした。

10位「C-Jam Blues」/Red Garland Trio

9位「So What」/Miles Davis

8位「Autumn Leaves」/Cannonball Adderley

7位「There Will Never Be Another You」/Sonny Stitt

6位「My Man’s Gone Now」/Miles Davis

5位「Moon Over Bourbon Street」/Sting

4位「Wee」/John Scofield

3位「Waltz For Ruth」/Pat Metheny & Charlie Haden

2位「Union Pacific」/Marc Johnson

1位「Lotus Blossom」/Kenny Dorham

いかがだったでしょうか。

ジャズの文脈においてはベースはひたすらリズムを守り、スピード感とコード感を提示する仕事が常について回るので、体力的にも大変なパートですが、ベースが良いプレイができたときは、みんな魔法にかかったように、他の共演者たちも良い演奏ができるので、ぜひエッセンスを学び取ってほしいです。

最初は、いろんな曲に手を出さずに、スタンダードを1、2曲選んで、ひたすらその曲を隅から隅まで、繰り返し学んでみるのもいいと思います。

最後までお読みいただきありがとうございました。